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寿司屋事典

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保存食でなく料理に発展!「生なれ寿司」とは?

寿司の原点である「なれ寿司」は、ごはんに漬け込んだ魚のみを食べるものでしたが、「生なれ寿司」の誕生により、ごはんと魚介類をともに食べる食文化が広がりました。なれ寿司は、仕込んでから食べられるようになるまでに数ヵ月から1年以上を必要とします。さらに、使用した米をすべて廃棄するため、無駄が多くもったいないという欠点もありました。それらの欠点を補うかたちで誕生したのが「生なれ寿司」です。

保存食から料理へ

保存食から料理へ

生なれ寿司は、なれ寿司よりも発酵時間を少なくし、まだ米粒が残っている状態で漬けた魚と一緒に食べるため、米が無駄にならず、長い期間待つ必要もありません。発祥の時期ははっきりしていませんが、鎌倉時代から室町時代にかけて生み出されたと言われています。生なれ寿司が誕生した頃から、寿司は、「保存食」から「料理」へと移行していきました。

日本各地の生なれ寿司

それぞれの地域に伝わる生なれ寿司には、以下のようなものがあります。ただし、現在はかなり数が減っているか、すでに作られていないものもあります。漬け込みに使用するごはんは、長めに漬け込むならかため、漬け込み期間が短いものはやわらかめに炊いたものを用意することが多いようです。

和歌山県

和歌山県は、サバのなれ寿司が有名です。一般的な作り方としては、塩サバを一晩塩抜きし、腹を割いて目玉と骨を取り除き、塩をまぶしたごはんを腹に詰めます。それを葦(よし)の葉で包んでから寿司桶などに入れ、若干の重石を置くなどして押し込みます。あたたかい時期は4日程度、寒い時期は1週間程で食べ頃を迎えます。サバ以外にも、小アジやタチウオ、カマスを漬ける場合もあります。今も、秋の祭りの時期などは家庭でも作られており、専門店では1年間を通し作られています。また、熊野のあたりでは、サンマを材料にして作られることが多く、これは、近くの漁場でたくさん捕れる魚の種類に関係しています。

青森県、福島県

戦前まで、青森県や福島県の会津地域では、サケを材料にした生なれ寿司が作られていました。11月頃に仕込みはじめ、正月用の料理としていた家庭が多かったようです。作り方は、サケを2日間ぐらい水に漬けて血抜きをし、3枚におろして薄切りにします。それを、あらかじめ炊いておいた米、酒と糀(こうじ)などを混ぜ合わせたものに漬け込みます。風味付けのため、サンショウなどを加えることもあったようです。

岡山県

岡山県新見市のあたりで作られていたアユの生なれ寿司は、手順が少し変わっていたとの記録が残っています。まずはアユに塩をふり一晩程度置き、塩と糀を混ぜたものに漬け込み、2、3日ぐらい置いたあとに水洗いをします。かために炊いたごはんと、麻の実やショウガを混ぜ合わせたものをアユの腹に詰め、寿司桶などに入れて重石をして数日間寝かせたら完成です。生なれ寿司は、ごはんに塩や糀を混ぜ込んだもので漬け込む方法が一般的ですが、岡山県のアユ寿司は、本漬けの前に一度、塩と糀で下漬けを行なうのが特徴です。