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日本三大洋食の一つ、コロッケ!コロッケにまつわる意外な歴史

日本の洋食の定番メニューである「コロッケ」。大正期には、カレーライスやとんかつとともに、三大洋食と呼ばれた「コロッケ」は、中に入れる具材の違いなどで様々な種類がありますが、日本人に一番馴染みがあるのは、おそらく「じゃがいもコロッケ」ではないでしょうか。コロッケのもととなったフランス生まれのクロケットにはじゃがいもを入れたものはなく、じゃがいもコロッケは日本生まれの料理なのです。その誕生の逸話を探ってみましょう。

日本生まれの「じゃがいもコロッケ」

日本生まれの「じゃがいもコロッケ」

じゃがいもコロッケの発祥については、様々な説があるようです。その中から代表的なものをいくつかご紹介します。

フランス料理のクロケットが起源

コロッケとは、各種の材料を、形を整えてフライ衣をつけて揚げた料理ですが、コロッケという名前はフランス語の「クロケット」が変化したものです。

フランス料理のクロケットは、クリームコロッケが基本で、中にベシャメル(ホワイト)ソースが入っているスタイルです。具材としてじゃがいもは入りません。このクロケットが日本にやってきたのは明治時代の中ごろ。当時の迎賓館である「鹿鳴館(ろくめいかん)」の料理として、初めてクリームコロッケが出されたのです。

じゃがいもの日本上陸

では、日本で、じゃがいもをコロッケに入れようと考えたのは、いつ、どんなきっかけからだったのでしょうか。実は、残念ながら、じゃがいもがいつ誰の手によってコロッケに用いられるようになったのかは定かではありません。しかし、じゃがいもの日本での栽培の歴史と西洋料理との出会いを訪ねることで、ある程度の推測ができるようです。

じゃがいもは、江戸時代の初期に、オランダ人によってジャワ島の港ジャガタラ(ジャカルタ)から長崎に伝えられました。「じゃがいも」という名は、「ジャガタラいも」から転じたものです。長崎に上陸したものの、江戸時代にはあまり栽培が進みませんでした。明治に入り、大きく2つの方向性で日本におけるじゃがいも栽培が進みます。そこに、じゃがいもコロッケのルーツが隠れているようです。

「日本初の西洋料理店とじゃがいもの」説

明治になると、長崎港に来航した外国船が、食糧として多くのじゃがいもを購入するようになりました。また、佐世保に軍港が開かれたことで、じゃがいもは帝国海軍の軍隊食としても用いられたのです。こういったことから、じゃがいもは長崎県で多く栽培されるようになり、明治時代の長崎県は日本一のじゃがいも生産県だったそうです。現在は、北海道がダントツの1位ですが、長崎県はそれに次いで全国2位となっています。

さて、この長崎には、日本初の西洋料理店がありました。江戸時代末期の1863年に、長崎・出島のオランダ商館やオランダ軍艦の厨房で働き西洋料理を体得した草野丈吉さんが開いた「良林亭(りょうりんてい)」です。開業当初は、6人以上はお断りという小さなお店でしたが、のちに「自遊亭」、さらに「自由亭」と改名して店を大きくしていきます。また、丈吉さんの弟子たちが、全国の開港地に散らばって西洋料理の普及に尽くすなど、丈吉さんは、まさに「日本の西洋料理の父」ともいうべき人物です。ちなみに、自由亭は、長崎のグラバー園内に移築復元され、現在、喫茶店としても開放されていますので、興味がある方はぜひ一度訪ねてみて下さい。

話をもとに戻すと、この丈吉さんの弟子たちが、その後、オランダ料理の「じゃがいもと牛肉の揚げ焼き料理」に学び、また、日本の天婦羅や普茶料理の「もどき」の手法をも取り入れ、じゃがいもコロッケを考案したのではないかとひとつには考えられているのです。

「北の大地とじゃがいもの」説

日本でじゃがいも栽培が進んだもうひとつは、明治時代にじゃがいもを北海道に持っていき育ててみると、その北の大地の風土とうまく合って大量に採れるようになったことです。

明治維新以降、北海道開拓が大々的に行なわれると、その広い大地では、外国からの優良品種の導入が盛んに行なわれるようになります。中でも、函館ドックの専務取締役で大農場主だった川田龍吉男爵が1907年(明治40年)にアイルランド産の苗を導入し、函館から道内一円に普及させた「男爵いも」は、北海道を代表する農産物としてよく知られているところです。加熱するとホクホクとした食感をもつ「男爵いも」は、数あるじゃがいもの品種の中でもコロッケに最も適した品種です。この男爵いもが日本中に広く普及したことにより、安くておいしい洋食として、じゃがいもをコロッケの材料としたじゃがいもコロッケが誕生することになったのではないかというわけです。

真相は定かではありませんが、じゃがいもコロッケを食べる時に、その誕生に少し思いを馳せてみると、より味わい深いかもしれませんね。